経済産業大臣指定伝統的工芸品 名古屋黒紋付染
経済産業大臣指定年月日 第18次指定 昭和58年4月27日

歴史
慶長16年(1611年)、尾張藩士小坂井家が、藩内の旗、幟などの製造にあたったことが始まりといわれています。その後、現在につながる紋型紙板締めの技法が生み出されました。
特徴
染色方法には、浸染と引染の二種類があります。浸染では、紋型紙を使用し、家紋の形を染め抜きます。染液の温度を高めにし、時間をかけて染めるため、堅牢度の高い黒色が得られます。引染では、黒の色艶の優れた「トロ引黒染」または「三ッ引黒染」の技法を用いることに特徴があります。
製造工程
浸染では生地に紋型紙を貼り、それを生地の両面から紋当金網(もんあてかなあみ)で押さえて締付け、下染めをした後、黒の染料液に入れて染め上げます。
※紋当金網の使用は名古屋黒紋付染特有の技法で、これにより長時間の浸染が可能となり堅牢度の高い黒色となります。
引染では、紋の部分に伏糊をして、「トロ引黒染」や「三ッ引黒染」技法で、刷毛(はけ)を使用して染め上げます。
最後に白く残った部分に紋章を手描きで入れて完成となります。
つもり(紋章の位置を決める)
紋型紙をのりで生地に貼る
紋当金網を紋型紙の上から両面に縫付ける
紅下染を施す
下染めを行った生地に本黒染を施す
ゆっくりと時間をかけて染めるのが特徴
一昼夜水に浸けたあと、よく洗い、自然乾燥させる
白く染め抜かれたところに家紋を描き入れる

主な産地
愛知県/名古屋市・西尾市・北名古屋市師勝町
※名古屋黒紋付染は反物を染める染部門と反物に家紋を手描きで描きこむ紋章部門からなります。
染付けに使用される反物
男性用「五泉」
京都の丹後、滋賀の長浜とともに全国三大白生地産地として栄える新潟県五泉市。
200年余の間、大切に培われてきた五泉の伝統産業として、良質な絹糸を丹念に操って撚りをかけ、織り上げた絹織物です。
羽二重 平織りと呼ばれる経糸と緯糸を交互に交差させる織り方で織られた織物です。
女性用「浜ちりめん」
滋賀県長浜市の伝統地場産業として250年もの間 研鑽 を重ねてきた高度な技がつくりだす浜ちりめんは、『絹白生地の最高峰』といわれています。
女性用のお着物は季節により、袷(あわせ)・単衣(ひとえ)・絽(ろ)がございます。

経済産業大臣指定伝統的工芸品 名古屋黒紋付染